ミノタウロスの皿

実に藤子F不二雄らしい短編モノ。
所々に隠れる藤子氏本来のダークなテイストの詰まった逸品。
このダークなテイストがいわゆる
ドラえもんでは笑い話に出来たりするものですが、
この短編集ではそういうものがない。
作品自体も色々とユーモラスでありながら
人間の核心を突いたものが実に多かったりします。
中でも劇画・オバQはかなり心にきます。
オバQ知らないと結構ダメですが、知ってると本当に切ない。
最後にみんなの顔が子供の頃の顔になった後の展開が
心に響きます。
変わりいく身近な人間に自分がついていけない孤独感と喪失感――
そんな想いが頭によぎる事でしょう。
ただ、オバQしらなきゃ「なにこのキモいの」の一言で
済んじゃいそうなのが残念です。